銃と君と僕と

 

君は僕の前に立っている。

 

一輪の花を握りつぶした君は、何が見えているのか?

 

僕は君の前に立っている。

 

あの花を渡した罪を、嫌というほどにかみ締めている。

 

君は何も言わない。

 

僕は君が言いたい事を知っている。

 

君は何も聞かない。

 

僕が分かっている事を知っている。

 

僕は問わない。

 

君が僕に向けた、冷たい銃口の意味を。

 

ひしゃげた花は傍らにあって、

 

僕はナイフを握っている。

 

僕は、

 

僕が切り裂いた花の名前を知らない。