暴力
偏執病のアンドロイドは、心を持ちうるのか、
鬱の病に侵される。
声高に、不条理を糾弾する自称弱者の金切り声が
黒板を擦るように、私の心を摩耗させる。
消極的な肉食主義者達は軈て抹殺され、
青々とした野菜の断末魔と共に刈り取られる。
イミテーションの秩序は、私達の限られた武器を取り上げた。
これは自衛だったのだ。
何者も許すということは、何者も許さないことに等しいのだと
私は唱える。
誰にも悟られぬよう、密かに、静かに。
自由が私達を脅かす。
平等が私達を締め付ける。
鎖を断ち切ることは、何者にも縛られない、
そして何者もが、何者をも縛り付けるということなのだ。
私はそっと、窓を閉めた。
もう聞く者はいない、悲鳴の金切り声を
それでも塞ぎたかったのだ。
それでも、指を乗せた撃鉄は起きなかった。
もう、咽び泣くしかないのだ。
奪われた不自由を渇望して。