暴力

 

機械仕掛けの街、鬱蒼と茂るコンクリートの森。

 

偏執病のアンドロイドは、心を持ちうるのか、

鬱の病に侵される。

 

声高に、不条理を糾弾する自称弱者の金切り声が

黒板を擦るように、私の心を摩耗させる。

 

消極的な肉食主義者達は軈て抹殺され、

青々とした野菜の断末魔と共に刈り取られる。

 

イミテーションの秩序は、私達の限られた武器を取り上げた。

 

これは自衛だったのだ。

 

何者も許すということは、何者も許さないことに等しいのだと

私は唱える。

誰にも悟られぬよう、密かに、静かに。

 

自由が私達を脅かす。

 

平等が私達を締め付ける。

 

鎖を断ち切ることは、何者にも縛られない、

そして何者もが、何者をも縛り付けるということなのだ。

 

私はそっと、窓を閉めた。

 

もう聞く者はいない、悲鳴の金切り声を

それでも塞ぎたかったのだ。

 

それでも、指を乗せた撃鉄は起きなかった。

 

もう、咽び泣くしかないのだ。

 

奪われた不自由を渇望して。