いっぽんみちの、わかれみち
まるで、時間が止まったみたい。
君に置いて行かれ、僕だけがここで年をとる。
時代は回ると言うけれど、もしそれが本当ならば
僕は君とまたどこかで会えるのかな。
僕には信じられないのさ、きっと直線なんだ。
交わらないけれど、線のどこかに
鳥がいて、猫がいて、魚がいて、ビルがあって、車があって、
僕と、君がいる。
分かっていれば十分なのさ。
ふと足下に目をやると、この線も、僕も
動いていると分かった。
どこまで流れているのか分からないけれど、
きっと、僕たちには
それだけで十分なのさ。
油の混じった雪がとけて、
そのうち、僕が解けていった。
また春が来る。
僕だけの世界なのに、なぜかそんな気がした。
考えていたら、もうこんな時間さ。
一本道の帰り道。
少し寄り道をして、池をながめていたら
また一匹、魚がはねた。