呆け

 

探し物をしているのです。僕は。

 

裏紙に書き連ねた取り留めもない駄文がある日突然、ふわっと浮かんでどこかに飛んでいってしまった。

 

どうしたものかなあ、と辺りを見廻していると

燻した煙が漂っているのに気付いて、僕は暖簾をくぐったのです。

 

まだ陽も沈まぬうちにこんな所で油で売るのは、と気が引けていたのですが、気が付くと僕はすっかりのぼせ上がっていました。

 

路地裏を抜けて、東にある堤防に腰をかけて一服していると、

 

雲の割れ目に、僕の駄文たちが飛んでいるではないか。

 

おーい、と僕は叫んだのですが、

まるで駄文たちは我関せずといったところで

 

そのまま沖へ吸い込まれていってしまいました。

 

あれからひと月。

 

僕は、干魚を摘んで猫に構ってやっているのですが、

 

返事は、まだない。