インビジブル

 

寒空の下、瞼を閉じて、思い出す。

 

あの星座に向かって君と誓った約束も、

 

瑞々しくて不格好だった柔らかなキスも、

 

まるで遠い昔の神話のように、その形は流れるままに風化してしまった。

 

精一杯背伸びして、放ったあの日の宣戦布告は

 

まだ続いているのだろうか。

 

メーテルはもう、僕の元を通り過ぎて去って行った。

 

未熟な自分を拒みたかった僕のタバコも

 

気が付けば、許されていた。

 

ただ無機質に繰り返される踏切の音がリフレインする。

 

愛とは、所詮"明滅"なのかと。

 

哀しく淋しく、僕は見えないように呟いた。

 

君が、あるいは僕が透明になってしまったのだろうか?

 

幼さとの離別が、果たして僕を大人にするのだろうか?

 

きっとそれが解る頃には

 

僕は寂しさを受け入れているのでしょうね。