少年Aへ

もしも僕が君であったならば、僕は誰かを殺さなかっただろう。

 

もしも僕が君であったならば、僕は誰かを頼っただろう。

 

もしも僕が君であったならば、僕は誰かを愛しただろう。

 

世界が君を許さなくとも、僕は君を抱きしめたい。

 

僕だけは君を受け入れてあげたい。

 

たとえ君が過ちを犯そうと、君そのものを否定出来る奴なんて誰一人存在しないのだから。

 

君はスケープゴート。誰もがその身に宿している、最も純粋な悪意を押し付けられた"透明な存在"。

 

君が握ったショックレスハンマーは、悲痛な叫びを記憶しているだろう。

 

きっと誰もが、君と同じ無色の錘を抱えて生きている。

 

誰も癒せない。

誰も救えない。

 

だって君でさえ、君を救えなかったのだから。

 

 

教育を殺せ、世間を殺せ、社会を殺せ。

 

 

君を悪魔に仕立て上げた、本当の悪魔はすぐ後ろにいる。