ゆるさない、ゆるぎない
頭が真っ白だ。
たった今彼女から告げられた言葉に動揺し、僕は何も考えられない。返す言葉もどこかへ忘れてしまった。
途端に、彼女が遠い遠い何処かへ逃げ去ってしまった様な気分だ。
僕は過ちを犯そうとしている。
この衝動はたとえ、ギターをアンプに突き刺そうとも収まる事は無さそうだ。
僕は苦しい。でもやるしかない。もう止める術は無くなってしまった。
その刹那、一瞬の出来事だった。
きっとたいそう立派な天文学者にだって予測出来やしなかっただろうさ。
浴びた返り血は、母の愛情すらも凌駕するほどに暖かい。きっともう戻れないのだ、この快楽を知ってしまったのだから。
ごめんなさいでは済まされない、仏すらも赦しはしない。
僕は走る。
どうか、誰か僕を止めないでくれ。
僕を愛さないでくれ。
僕を赦さないでくれ。