あべこべ
「今は幸せか?」と聞かれたら
僕は首を縦には振らない。
普遍的な幸せと表現するのは烏滸がましいが、
凡その人達が考えるところの幸せというものは、生憎持ち合わせていない。
その多くの人達は、幸せについてとやかく思案しないからこそ、幸せという錯覚を得ているのだと思う。
それは素晴らしいことだ。
僕は、定義された幸せを享受したいと思うことは無い。
何故、人は幸福の多寡に飽き足らず、
「人が幸せになりたいと思っていること」すらも当然としているのか?
僕は別に幸せになりたいとは思わない。
僕の幸せは未知のものであって、それは僕だけが獲得すべきである。
僕は独りよがりだ。
しかし僕は思うのだ、誰の足跡を辿ることも無い、自分だけの幸せの正体は、
孤独なんじゃないかと。
孤独を愛せる人がもしいるのであれば、きっとそれは世界一の幸せ者なのだろう。
だから僕は、いつまでも幸せになれない。