ダル・セーニョ

笑顔と涙が咲乱れる、出会いと別れの繰り返し。

ほろ苦くて、甘い季節。

 

僕は未だ、前に進めずにいるのかもしれない。

 

しんしんと降りしきる雨と共に散る桜が

優しく僕を撫でつける。

 

僕はまたここに立っている。

 

今日は君との再会の日、君との離別の日。

 

もう何度目になるのだろうか。

 

いつか空き地に芽吹いていた幼い木々は

僕の中にいる君の、背丈をとうに超えてしまったよ。

 

顔を湿らせた僕は、手を合わせ、君を想う。

 

まだ着慣れない、不格好なスーツを見て

きっと君は笑ってる。

 

「こんな所で何をしているの?」

って。

 

僕は僕の人生の中で、あと何回君に会いにゆくのだろう。何回君に会えるのだろう。

 

それでも僕は何度でも君に会って、

何度でも君に別れを告げよう。

 

『それじゃあ、またね。』

 

忘れたくない想い出に栞をさして

明日に向かって指をさす。

 

僕は時計の針を進める。

出会いと別れが訪れる。

 

だから待っていてね。

萌ゆる蕾が花開いて、また散るその日まで。