週末

土砂降りの雨、路肩に停めた車の中で煙草に火をつける。

 

疲労感に満ち満ちた、充実とは程遠い毎日の中で

僕は知らず知らずのうちに君を求めているのかもしれない。

 

君と交わる間だけは、僕は全てを忘れ去ることが出来る。

君と交わる間だけにしか、僕は満たされない。

 

燻る煙を眺めながら、味気ない日常に対して深いため息をつく。

 

バックミラー越しに、赤い傘をさした君が映る。

 

彼女も僕のように、この日常にうんざりしているのだろうか。思いは通じているのか。

 

次第に不安が募り、その裏返しからか僕は金曜日の夜に決まって君を呼び出す。

 

交わす言葉もないまま、彼女は助手席に乗り込む。

 

「それじゃ、行こうか。」

 

エンジンを掛け、車は雨ざらしの夜の街へと消えてゆく。

 

交わらない二人の思いと、一抹の不安を乗せて。