世界で一番小さな歌

リビングの奥に隠れた四畳半

僕だけのステージ。

 

敷き詰められたステッカーが客席を睨む

こいつは相棒のレス・ポール

 

アンプには繋がない、

夢想のパフォーマンスが今始まるのだ。

 

熱狂するファン達が地平線の向こうまで並ぶ様は、さながらオスマンの大行進。

 

憧れのロック・スターさえ

涎を垂らして拳を振り上げるのさ。

 

錆びた弦を一度弾けば、

皆が一斉に踊り出すんだ。

 

世界が僕を待っている。僕が世界に逢いにゆく。

 

箱庭の世界の最果てで唄う、

夜空にかがやく一番星。