弱虫
暗い魂の叫びを伝えたあのミュージシャンは死んだ。
心の弱さを唄ったあのミュージシャンは、ジレンマの渦中で苛んでも、生きた。
生きる事を教えてくれた。
生きて、生きて、もがいて生きてもいいんだって。
誰一人として、そんなに強くねぇんだって。
教えてくれたミュージシャンは何時だって"生きてた"。
叫ぶことを止めなかったから。
引き裂くことを止められなかったから。
苦しみから逃げた先には何も無いんだって、皮肉な笑いに溺れながら伝えてくれた。
だから生きようと思ったんだ。
それでも生きてみようと思えたんだ。
死にたい魂に死ねない体。
生きたくない魂に生きなきゃいけない体。
矛盾してたっていいんだって、悩んだっていいんだって
弱くたって、気持ち悪くてもいいんだって、
伝えられたら、あの時もっと幸せになれたのかな。
言葉に出来たら、あの日に救われたのかな。
鍵をかけて部屋に閉じこもったクソガキに何かしてやれたのかな。
もしあの日に戻れたならば、きっと同じ様に垂れ流してた。
そんでもって、そいつの横に腰を下ろして言うんだ。
"俺は弱虫だ"って。