駆け抜けて性春、駆け抜けたかった青春

高校時代に銀杏BOYZばかり聴いていた。

若さの衝動と、泥臭さと、汗臭さと、どうしようもない童貞臭さを放つ気持ち悪いバンドだけど、どうしようもなく好きだった。

何も出来ないし、何もしたくなかった俺にとってのカタルシスだったのかもしれない。

そんな銀杏BOYZの、峯田和伸のライブに足を運んだ。俺は大学生になってた。

擦り切れた痛々しさとか、鬱屈した感情はとうに克服してた俺にはもう刺さらないと思っていた。

 

ブッ飛んだ。

 

豊洲PITのステージで峯田がかき鳴らした「駆け抜けて性春」は、

俺が欲しくても手に入れられなかった、逃げ出した青春のカタチを代弁してくれた気がした。

もう二度と戻れないあの時間に、ティッシュにでも包んで捨ててしまったゴミみたいな青春を、それでも欲しかった青春を"音"でカタチにしてくれた峯田。

俺は初めて、音楽を聴いて「生きたい」と思った。

 

俺は性春も、青春も諦めない。

 

あの時、揉みくちゃになった俺のナカに、確かに"ソレ"は駆け抜けたから。