日記~八月二十日

 

本日未明、

私が私を殺したあの日から、丁度一年でございます。

 

その成れの果ては今も東の海岸に横たえられていると聞く。

 

ツナ缶を、卑しい猫共にくれてやる。

 

戸締りを確認し、家を出ました。

 

隣家の婆めが一度見に行ってみなさいとあまりにも執拗いので、

私は私がどうなっているのかを知っておこうという算段でございます。

 

桟橋を越え、あの海岸に着くと、

どうでしょう、野次馬が海嘯のように蠢いているではありませんか。

 

磯の香りが鼻につく。

 

すみません、すみません、と藻屑を掻き分けて、

漸く視界が開けると、

 

殺したはずの私が、一体全体何を考えているのか。

 

裸踊りをしているじゃあないか。

 

ぎゃあ、ぎゃあ、と海猫は巣を荒らされた腹いせからか、私を啄んでいる。

 

踊る私は身体中血まみれで、はらわたを零しながら

それでも踊っていました。

 

私の不始末が、どうしてこんなにも珍奇なコトに……。

 

小っ恥ずかしいったらありゃしません。

 

何故かというと、海嘯の藻屑たちが皆一同

そんな私を見て、腹がちぎれてしまうほど、

 

げらげらげらげら。

 

大笑いしていたんですもの。