萌動する麻の茂みを越えて、野に咲く色とりどりの花や虫を見つけては踏み潰して回った。
かつて生を孕んでいた、萎れた雑草に造花を突き刺して嗤う。
丘を越えて、林道を潜り、辺り一面には透き通る様な鈍色の湖があった。
隠されていたのだろうか。これは自然が恒久の時を経て形成した、言わばこの地、この星の恥部なのではないか。
高揚に顔を歪め、土に汚れた服を捨てる。
身体は沈み、丁度頭のてっぺんまで浸かるほどの浅い水溜まりだった。
もっと深く、もっと深くに行こう。
膝を屈め、全てを真ん中に引き寄せるように、僕は僕を抱く。
考える、考えている。
陸で考えていた事を、今僕は水中で考えている。