プライマル・スクリーム

何時かの時代の、何処かの星。

 

大地に降りた一つの獣が、慟哭した。

 

獣には、護るものも、護られるものもない。

 

悪戯に消費されてゆく意味の無い虚無に、

 

苛立ちと悲哀を感嘆したのだ。

 

獣は、凡そ(おおよそ)自身を護る枷があるのだと

信じて大地を進んだが、

 

眼に映るものは総て、蹂躙と火薬の匂いなのだった。

 

どす黒く、粘り気の含んだ川が流れ、

異形の蛋白(たんぱく)質が力なく動いている。

 

摂理には勝てず、この世界を統べた者達は

時間と空間の自浄に押し潰された。

 

 

獣が纏っていた布切れは川に浮かび、

汗と血に塗れていた。