赤
情熱と憩い。
煉獄と夕景。
電灯とライター。
胎動と、絶命。
原始の時代から、ヒトだけが魅せられ続けてきた
地脈の鼓動がもたらす幻惑の色。
時には抑えきれない憤怒の様相を表し、またある時は心象に灯る安らぎを表す。
私達は火に生まれ、そして火に帰結する。
太陽の下に、世界は生きている。
偶然が必然か、私達は生まれてすぐ「赤子」と呼ばれる。
そこに深い意味は無いのかもしれない。
それでも、私は思う。
この色は、世界に命を与えた何者かがくれた贈り物なのだと。
かけがえのないものなのだ、と。
それは目には見えない魂の色。
私たちがヒトである前から、
血とともに受け継がれている失われた想い出。