苛立ちと虚無と矛盾と。

正午を過ぎて、陽の光が脳天を貫く頃。

 

五月蝿い蝉のがなり声に叩き起され、俺の体は目を覚ます。

 

煩わしさを押し殺して精一杯目を擦り、必死に身体へ動けと命令する。まるで自分のものじゃないみたいだ。

 

気の抜けたぬるい三ツ矢サイダーを一気に飲み干し、外に出る。

照り返る陽射しは、常に俺を狙っているようだ。

 

シャツにプリントされた剥がれかけのパンク・ロッカーは、俺のことをちっとも守っちゃくれない。

 

汗疹を掻きむしりながら、込み上げてるフラストレーションを完膚無きまでに叩きのめす自分を想像する。

 

俺は思わずニヤリと笑う。

この苛立ちを、俺がこの世で最も嫌う彼奴に見立て立ち上がれぬほどに殴ってやったのだから。

 

爽快さとは裏腹に、苦虫を噛み潰したような感情が過ぎる。

 

これじゃあ何も解決になりはしない。

嘆きたくなるほどに気分が悪い。俺は心と身体の癒しを求める為に、思わずレコードショップへと駆け込む。

 

嗚呼、いつ来ても此処は素晴らしい。ジャケットに押し込められた沢山の神様が、これみよがしに整列しているじゃあないか。

 

俺は神なんか信じちゃいないが、

どうか神様。

 

この太陽を殺してくれ。