2020-09-01 しあわせ こじんまりした喫茶店で 今日も私はほっとひと息。 咥え煙草の老人を 一瞥してから扉を開ける。 12世紀のオートマタは 褪せた眼で虚空を眺める。 めくる頁に染み付いた 何処かの誰かの好奇心。 くすんだ檜の木目に残る わんぱく坊やの引っ掻き傷。 どんなに埃臭くても きっとまた吸い込まれる。 機械仕掛けの生活に 榛(はしばみ)色を垂らしてみたい。 懐古との邂逅、それはきっと 明日も誰かのほっと一息。